「宅建で特定行政庁が出てきたら、だいたい○って本当?」
こざりえ先生の「特定行政庁最強説」を聞いて、気になりました。
「特定行政庁がいいよと言えば基本OK」「99%これで正解できる」という話は、本当に過去問でも使えるのでしょうか。
そこで、RETIOが公開している宅建本試験の過去問を実際に確認しました。
結論から言うと、最後の判断材料としてかなり使えます。
ただし、「特定行政庁=○」と丸暗記すると、逆に落とされる問題もありました。
- 「特定行政庁が許可」は○を疑う材料
- 「許可・指定なしでOK」は×を疑う材料
- 特定行政庁が出ても文章の後半まで読む
まず結論と使い方を紹介し、記事の後半に過去問の年度・肢・公式リンクをまとめています。
「本当に合っている?」と確認したいときは、後半を辞書のように使ってください。
「こざりえ」こと小澤梨恵先生は、宅建講師です。
公式サイトでは、宅建講師として5年以上の実績があり、自身の宅建受験経験と不動産実務経験を生かして指導していると紹介されています。
結論|特定行政庁最強説はかなり使える

過去問を確認すると、最強説がきれいに当てはまる問題は実際にありました。
ただし、使い方は「特定行政庁を見たら○」ではありません。
「許可した」は○を疑う
最強説が強いのは、原則ダメから例外OKへ動く問題です。
建築基準法には、特定行政庁の許可・認定・指定などで例外を認める仕組みがいくつもあります。
平成28年問19では、特定行政庁の許可によって用途制限の例外が認められる肢が○でした。
細かい規定を忘れたときに、「特定行政庁が許可しているなら○かも」と考える材料になります。
「許可なし」は×を疑う
最強説は、逆向きにも使えます。
「特定行政庁の許可を受けなくてもよい」「指定がなくてもよい」と書かれた肢です。
平成24年問19と令和7年問18では、この形の肢が実際に×になっています。
知らない問題なら、「本当に特定行政庁なしでいいの?」と一度疑ってみる価値があります。
「特定行政庁=○」にはしない
ここが最強説を使ううえで一番大切です。
特定行政庁が出ても、必ず○ではありません。
過去問には、「特定行政庁が許可」という部分は合っているのに、後半へ間違いを混ぜた肢があります。
宅建ちゃん見つけても、そこで読むのをやめない!
そもそも特定行政庁って誰?


「特定行政庁」という名前だけでは、どこにいる誰なのか分かりませんよね。
国の偉い人なのか、市役所なのか、県庁なのか。
国土交通大臣のことではない
特定行政庁は、国土交通大臣の別名ではありません。
「特定行政庁」という役職名の職員が、市役所の窓口にいるわけでもありません。
建築基準法の中で、地域ごとの許可や指定などを担う行政側を表す言葉です。
「国土交通大臣より偉い」という上下関係の意味でもありません。
市町村と都道府県、どちらもあり
国土交通省は、特定行政庁を次のように案内しています。
- 建築主事を置く市町村の区域は市町村長
- それ以外の市町村の区域は都道府県知事
市町村側が担当する地域と都道府県側が担当する地域があると考えると分かりやすいです。
「地域の建築ルールを判断する行政側」でOK
宅建の問題を解く段階では、もっと簡単なイメージで大丈夫です。
「その地域の建築ルールを判断する行政側」と覚えておきましょう。
だから、問題文で特定行政庁が「許可」「指定」したと出てくると、原則から例外へ動くことがあるんです。
細かい役所の仕組みより、まずはこのイメージを持っておけば最強説が理解しやすくなります。
本試験での安全な使い方は3つ


最強説は、正しい知識の代わりではありません。
知識があいまいな肢で迷ったときの補助として使います。
最後の二択で使う
最強説は、最後の一押しに向いています。
四肢を二つまで絞れたけれど、細かい例外規定を忘れてしまった。
そんなときに「特定行政庁が許可しているから○を疑おう」と使います。
最初から最強説だけで四肢を判定する使い方はおすすめしません。
特定行政庁の後ろまで読む
特定行政庁を見つけたら、後半をよく読むのがポイントです。
平成18年の過去問では、同意する相手をすり替えていました。
令和4年の過去問では、緩和できないものを一つ混ぜています。
前半が正しくても、肢全体が正しいとは限りません。
知っている問題は知識を優先する
正確な知識があるなら、知識を優先します。
最強説は建築基準法のルールではなく、過去問で見られる出題パターンを利用した考え方です。
知っている肢の答えを、最強説だけを理由に変える必要はありません。



分からないときの最後のヒントにしよう。
2025年本試験でも逆向きに使えた


今回の検証で、特に面白かったのが令和7年問18肢4です。
最強説を「逆向き」に使える形で出題されました。
約1か月後の本試験に登場
令和7年度の宅建本試験は、2025年10月19日に実施されました。



問18肢4には、まさに「特定行政庁」が登場します。
内容は、省エネ性能を高める外壁工事なら、特定行政庁の許可を受けずに容積率の限度を超えられる、というものでした。
「許可なし」が×だった
この肢は×です。
令和7年問18の公式正解は肢2なので、肢4は誤りです。
国土交通省も、省エネ改修などで容積率・建ぺい率を超えることが構造上やむを得ない場合について、特例許可制度を案内しています。
つまり、「許可なしで本当にいいの?」と疑えれば、正解へ近づける問題でした。
最強説だけでは間違える過去問もある


最強説の弱点も、過去問ではっきり確認できました。
特定行政庁が登場していても、肢の後半が間違っていれば×です。
同意する相手をすり替える
平成18年問21肢4は、相手のすり替えが罠でした。
接道義務を満たさない敷地について、特定行政庁が安全上などに支障がないと認めて許可する流れが出てきます。
ところが、問題文では「利害関係者の同意」としていました。
当時の許可制度で必要なのは建築審査会の同意なので、この肢は×です。
現在も、接道義務の例外の許可ルートでは建築審査会の同意が必要です。
緩和する対象を混ぜる
令和4年問18肢2は、対象の混ぜ込みが罠でした。
特定行政庁が市街地環境の整備改善に資すると認めて許可するところまでは、それらしく見えます。
しかし、問題文は緩和できる対象に「建ぺい率」まで入れていました。
国土交通省が説明する総合設計制度の緩和対象は、容積率制限・斜線制限・絶対高さ制限です。
そのため、この肢は×になります。
正しい部分の後ろを見る
この2問から分かることは、とてもシンプルです。
正しい言葉の後ろにもワナがあるのです。
最強説を思い出したら答えを決めるのではなく、その後ろを丁寧に読みます。



最強説を使うほど、後半をよく読もう。
過去問で特定行政庁最強説を詳しく検証


ここからは、根拠まで確認したい人向けです。
普通に読むだけなら、この章は飛ばしても結論は分かります。
検証した過去問の早見表
今回、代表的な「特定行政庁」が判断ポイントになる肢を複数年度で確認しました。
| 年度・問題 | 正誤 | 使い方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 平成28年 問19肢1 | ○ | ○方向 | 許可で用途制限の例外 |
| 平成28年 問19肢3 | ○ | ○方向 | 許可で建ぺい率制限の例外 |
| 令和4年 問18肢3 | ○ | ○方向 | 指定で道路とみなす |
| 令和6年 問18肢2 | ○ | ○方向 | 許可で高さ制限の例外 |
| 平成24年 問19肢1 | × | 逆向き | 「指定がなくても」が誤り |
| 令和7年 問18肢4 | × | 逆向き | 「許可を受けることなく」が誤り |
| 平成18年 問21肢4 | × | 注意 | 同意する相手が違う |
| 令和4年 問18肢2 | × | 注意 | 建ぺい率を混ぜている |
この表だけでも、「特定行政庁が出れば全部○」ではないことが分かります。
古い過去問は法改正に注意
RETIOも、法改正により過去問が現在の法律と一致しない場合があると案内しています。
この記事では、現在との違いが重要な部分は国土交通省の資料も確認しています。
○方向で使えた過去問
平成28年問19は、「誤っているもの」を選ぶ問題です。
公式正解は肢4なので、特定行政庁の許可が登場する肢1と肢3は○です。
肢1は用途制限、肢3は公園内の一定の建築物に対する建ぺい率制限の例外でした。
令和4年問18肢3では、幅員1.8m未満の一定の道を、建築審査会の同意を得て特定行政庁が指定するケースが○になっています。
令和6年問18肢2も、特定行政庁がやむを得ないと認めて許可した場合の高さ制限の例外が○でした。
逆向きに使えた過去問
平成24年問19肢1では、「特定行政庁の指定がなくても」角地の建ぺい率を緩和できるとしていました。
問19の公式正解は肢3なので、肢1は×です。
令和7年問18肢4も、「特定行政庁の許可を受けることなく」とした部分がポイントになる×の肢でした。
最強説は「特定行政庁があるから○」だけでなく、「特定行政庁を外して本当に大丈夫?」という使い方もできます。
最強説だけでは危険な過去問
平成18年問21肢4は、「特定行政庁が許可」という前半だけを見ると○にしたくなる肢です。
しかし、「利害関係者の同意」としているため×でした。
現在の接道義務にも、一定要件の「認定」と個別の「許可」のルートがあります。
許可ルートでは建築審査会の同意が必要です。
令和4年問18肢2は、総合設計制度で緩和できるものに建ぺい率を混ぜたため×です。
国土交通省は、総合設計制度で特定行政庁の許可により緩和できるものを、容積率制限・斜線制限・絶対高さ制限と説明しています。
「99%」はどう考えればいい?


「99%これで正解できる」という表現は、とても覚えやすいですよね。
ただし、今回の記事では99%という数字そのものを証明していません。
成功率99%を集計した調査ではない
今回は、昭和63年以降の全選択肢を機械的に数えて成功率を出した調査ではありません。
「特定行政庁」が正誤のポイントになる代表的な過去問を複数年度で確認しています。
そのため、「本当に99%だった」とは書きません。
使えるパターンは確認できた
一方で、最強説の考え方は過去問でも確認できました。
許可・指定によって例外が成立する○の肢があります。
「許可なし」「指定なし」としたため×になる肢もありました。
裏技として何の根拠もない、というわけではありません。
数字より使い方を覚える
わたしなら、99%という数字より使う順番を覚えます。
- まず知識で判断する
- 分からなければ最強説を思い出す
- 特定行政庁の後ろまで読んで決める
この使い方なら、最強説の便利さを残しつつ、反例にも対応しやすくなります。
まとめ|特定行政庁最強説は最後の一押しに使う


過去問を確認した結果、特定行政庁最強説は使えると感じました。
ただし、「特定行政庁=○」という新しい丸暗記を作るのは危険です。
- 特定行政庁の許可・指定なら○を疑う
- 許可・指定なしなら×を疑う
- 最後は文章の後半まで読んで判断する
正確に覚えている問題は知識で答えます。
どうしても分からない肢で迷ったときに、最強説を最後の一押しに使ってみてくださいね。










